
ピアノ購入を考え始めた時、ピアノの先生から1つだけ助言がありました。「一番大切なのは、購入後からのメンテナンス・調律だと思う」ピアノの種類ばかりに気をとられていた私にこの言葉は示唆を与えてくれました。そして「調律やメンテナンスについて誰にどう相談するといいのか」と悩みました。ちょうど世間はコロナ禍になり始めた時期でもあり、SNSでまず検索してみました。すると、ある素敵なホームページに惹かれました。(お店のホームページはとても見やすくて綺麗です)それがピアノファクトリーさんでした。 早速お電話をすると、幸運にも社長さんとお話することができました。それほど長くない会話でしたが、こちらが四国であることを伝えると「ええ、四国の方もお客さんおられますよ」とおっしゃり、「Mさまとよいご縁となりますように」と最後に言葉を添えられました。電話を切った後、穏やかな気持ちでした。自分が求めていたのは、『購入時から調律の事もお話することができる』ことだったと気づきました。(ピアノファクトリーさんならば直接調律師さんとお話ができるためコミュニケーションもスムーズにできて、お店に行かなくても電話でピアノについてお聞きできます)ピアノについて話す時に調律についてもお話できること、お店の社長さんが調律師さんであることは、その場で解決してくれることが多くありますし、何よりとても安心感があると思いました。
【ピアノファクトリーさんとの出会い】
直接、お店に伺ってみると、外国製ピアノも多様に扱っておられ、年代物ピアノも大切に扱っておられました。それらをみながら、どのような人たちがこれらに親しみ奏でてきたのだろうと想像しました。年季を超えたピアノにメンテナンスを行うことで、またその楽器ならではの音を出していくのだと思いました。横田社長さんやお店のスタッフの方たちのピアノというものへの思いと熱情、そして専門家としての技術を、僭越ながら垣間見させていただいたような気持ちでした。
ピアノの音色の彩と深みはそれぞれ異なり、素人耳にもどれも魅力的な音色でした。そして、社長さんのお話を聴きながら「楽器は工業製品ではなくやはり楽器なのだ」と思いました。楽器ゆえにそれぞれに個性をもっているとよく聞きますが、日々の中でそのピアノをその人が出す音色、その時間が積み重さなっていること、まさに歴史があると感じました。自分もそういうお付き合いのできるピアノを選びたい、楽器のもつ複雑さと未知をずっと味わえるピアノと出会いたいと願いました。
購入後数年は音が不安定になりやすいこと、しだいに置かれたその部屋に馴染んでくることを伺いました。調律をしていただくと、音がまた輝きだします。『物』というのは日々使用するだけではなく、お手入れや点検することでいきいきとしてきます。楽器も同様だということ本当に感じました。物と人との関係において、とても大切な時間だと思います。
【豊かな人生のために】
何が自分にとって豊かさになるのか人それぞれだと思います。縁がめぐってきてピアノを習い始めることができました。先生のお宅のグランドピアノで練習していて、ふと初心者なりに感じたことがありました。「そうか、上手くなってからグランドピアノを買うのではなく、上手くなるためにグランドで練習するのだ」と。ピアノの先生に伝えると「その通りよ」とほほ笑んでくれました。子どもの時であれば親に決められてしまうことも、 大人になると自分の好みでピアノを選ぶことができます。こんなワクワクするチャンスは他にありません。楽器は音を出すものですが、音色の響きや深みだけではなく、グランドピアノの全体的なフォルムもすごく魅力的だと思います。視ても聴いてもいいものが側にある幸せを感じています。
ベヒシュタインにたどりついたのも縁なのだと思います。ベヒシュタインの音色を聞くとなんともいえないあたたかい気持ちになります。豊かな色彩と比喩される意味がわかるような気がしました。上手くない自分が弾いても、上手な友人が弾いても、家の中に流れている音色は、なんだかその空間全体を豊かにしてくれるような感じです。他で聴くグランドピアノの音と自分の家のそれが違うように感じられるのは、あくまでも主観的であり私しか感じられないことなのかもしれません。そして、音には人の気持ちに働きかける魔法のような作用があると思う瞬間でもあります。
【最後に】
まだピアノに触れ始めて間もないので、ピアノがどのようなものなのかをここに記すことができないのが残念です。継続していくと、もっと心と体で感じていくことと思います。
優しいピアノの先生、素敵なピアノ、頼もしい調律師さん・ピアノファクトリーさんに導いてもらっていることに感謝しながら日々ピアノに触れています。これまで体験しなかったことができること、すごく楽しみです。